コンクールについて

子どものためのピアノコンクール、コンペティションがいろいろなところで行われています。参加することによって、多くのことを学ぶことができて、子どもたちにとって有意義な経験になります。コンクールによって成長できるお子さまにとっては大事な機会です。目標として苦手なジャンル(時代)の曲もがんばって練習しますし、ステージの経験、同じ学年のお子さんが同じ曲を弾くのを聴く経験も勉強になり、大きな自信につながることもあります。入賞すると誇らしい気持ちになります。がんばった経験が宝物になります。

半面、ピアノを弾くことを子どもたちの競争にしたくない、という気持ちもあります。音楽はスポーツと本質的に異なっていて、競争や順位とは本来無縁なものだろうと思います。

昔、コンクールの審査員をしていた時、大量の採点しながらも違和感がありました。子どもの演奏が細かい点数評価になじまないと思ったこともあります。ひとりひとりの子どもたちが審査員にはわからない環境のなかで頑張って弾いていて、コンクールの結果が子どもたちの心の成長にどのように影響するのか少し不安に思っていました。

今は、大学の試験で学生の演奏を採点していますが、幸い大学の成績は平常点も加味した上で3段階か4段階の大雑把な区切りの評価なので納得できます。

 

コンクールの参加について、特に練習量をふやすための刺激として、おすすめすることはあります。でも決して絶対大事ではありません。私が子どものころ習っていた松井澪子先生は子どものコンクールに批判的でしたので、その影響もあります。長年のレッスンと、自分自身の子育ての経験と反省を踏まえると、子どものためのコンクールの参加については慎重になるべきではないかと考えています。