ミキェヴィチとショパン

今年の発表会で私が弾く曲は、ショパンの「バラード第1番」。羽生弓弦選手の昨シーズンショートプログラムで俄然有名になりました。

ショパンは、詩人ミキェヴィチの叙事詩からインスピレーションを得て、バラード4曲を作曲したと言われています。

バラード第1番の背景は、14世紀のリトアニア大公国で活躍したドイツ騎士団についての詩「コンラード・ヴァレンロット」。

 

「リトアニアが十字軍に敗れて独立を失い、7歳の王子コンラード・ヴァレンロットは捕虜となった。敵方の首領の養子として成長した彼は、やがて十字軍きっての勇敢な騎士となって、首領に選ばれる。そこで彼は知略をめぐらし、母国リトアニアを独立させることに成功するが、自分自身は十字軍の裏切り者として処刑される。」

という物語です。と言っても、ショパンの音楽は、具体的に情景を描写する表題音楽ではなく、詩のイメージに着想を得て書かれた曲と言われています。

 

先月合唱の伴奏で、リトアニアに行きました。首都のヴィリニュスにミキェヴィチの像がありました。ヴィリニュスの旧市街は世界遺産で、中世の騎士団や、複雑な歴史に思いを馳せることができました。その風景のように美しい「バラード第1番」を弾けるようになりたいものです。