マザーグースの歌

イギリスの伝承童謡「マザーグースの歌」。

日本の子どもの歌より、古い時代の歌がまとまって残っています。

 

今、日本の子どもの歌として思いつくのは、幼稚園、保育所、学校でみんなで歌う歌です。学習指導要領にある、歌唱共通教材。音楽の教科書にある曲。合唱コンクールのための曲。また、テレビなど、アニメの主題歌や、アイドルのヒット曲。

 

「マザーグースの歌」は、17世紀、18世紀から歌い継がれてきたそうです。(日本では江戸時代。)

600以上ある歌は、聖書、シェイクスピアと並んで、英米人の教養の礎となっているとも言われるそうです。誰でも知っている歌詞は、例えばその一部を引用すれと、共通の、暗黙の理解や連想に繋がります。マザーグースの登場人物や、言い回しは、英米社会の中で、新聞記事や雑誌、文学、映画など多くの分野の中に用いられています。ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」に登場することも有名です。

 

 日本では、江戸時代の子どもの歌が歌い継がれているとは言えないと思います。日本の江戸時代の子どもの歌は「わらべうた」。現代の子どもたちの生活の中でそれほど歌われているわけではありません。そう考えると、イギリスでは日本の江戸時代、もしくはもっと前から、同じ歌が世代を超えて歌われていることが少し羨ましくなってきます。

 

私達が江戸時代の子どもたちと同じ歌を歌えないのは、明治のはじめ、子どもたちの学校の「音楽」が、急に西洋音楽になったからです。(19世紀の半ば、音楽が急に西洋音楽になったのは、日本だけのことではないようです。)

政府によって「音楽取調掛」が開設され、音楽とは「西洋音楽」となり、伊沢修二らによって、「小学唱歌」が編集されました。外国の曲に歌詞をつけたものが多くありました。昔の日本の子どもの歌、と思いつく唱歌は、明治時代以降のもので、それ以前の「日本の歌」ではないわけです。その「唱歌」も学校音楽の中で歌われることが減ってきました。世代を超えて、子どもたちと一緒に歌う歌が見当たりにくい今日です。

 

ところで、「マザーグースの歌」に簡単に弾けるピアノの伴奏をつけてみました。右手でメロディーを弾くので、歌わなくてもピアノ曲として楽しめます。でも、歌って覚えた英語は不思議とはっきり記憶に残っていたりしますので、子どもたちにたくさん歌ってほしいと思います。 アマゾンで販売しています。