モーツァルト 2台のピアノのためのソナタ

長年レっスンに通ってくださっている2人が、今年の発表会でモーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」を弾くことになりました。

 

この曲は、2台ピアノの中でも人気があり、ドラマや映画でも使われて「どこかで聴いたことある」曲です。私も2台のリサイタルで弾いたことがあります。聴いても楽しく、弾いても楽しめます。

 

モーツァルトは小さい時にお姉さんのナンネルと一緒に連弾をしていたので、2人でピアノを弾く、ということがどういうことなのかを、とてもよくわかっていたのではないかと思います。モーツァルトの連弾の曲も楽しく、美しく充実しています。

ピアノは、ひとりで弾くか、または伴奏楽器として弾くか、になりやすく、対等なアンサンブルとしての連弾や2台ピアノは独特です。2人で弾くと、ピアノの音が2倍になり、面白いし迫力も出ます。

でも、モーツァルトの時代のピアノは、現代の立派な、大きくて、重いグランドピアノとは異なっていました。音量も今のピアノほどありませんでした。ですから、もちろん今私たちがガンガン乱暴に弾くわけにはいきません。今の時代の楽器の良さを生かしつつ、モーツァルトらしく演奏したいと思います。

 

ベートーヴェンの時代になっても、まだピアノは現代の楽器と同じではありませんでした。ベートーヴェンときくと、ついつい力いっぱいフォルテで弾きたくなりそうですが、やはり時代と楽器の音については考える必要があります。ベートーヴェンはペダルの記号を書いていますが、ペダルの機能はベートーヴェンの時代の後に、大きく向上しました。現代の楽器でベートーヴェンのペダルのしるし通りにベタっと踏んでしまうと、ペダルの効果がありすぎて、濁り過ぎてしまいます。どこかで何回か薄く踏みかえたり、ぼかしたりします。あまりペダルの効き目が持続しなかったという、その時代のピアノの音を想像しながら。