祖父 福富啓泰

祖父 福富啓泰は、キリスト教の研究者で、晩年八王子市緑町に住みました。1986年、当時私はお茶の水女子大学の助手の仕事をしていました。12月14日、日曜日、近所のロゴス教会で証言(礼拝でお話し)する予定だった祖父は、前日に原稿を準備していましたが、早朝、腹部動脈瘤破裂で亡くなりました。28年前、83歳でした。

 

クリスチャンだったので、だろうと思いますが、東京音楽学校(現在の東京芸術大学)のオルガン科に入学しましたが、ほどなくして耳を患い、退学。青山学院大学に入学しましたが、指導教授が九州大学に移られたために、九州大学に入学、卒業したそうです。意志も強かったと思いますが、経済的にも恵まれていたのかもしれません。その後、関東学院に勤めていた時に戦争で失職し、満州ハルビンの大学で働きました。私が気付いたときには、茨城大学に勤めていました。定年退官後も、八王子から岩手県久慈のアレン短大まで講義に通いました。自分自身のキリスト教の信仰と、それを学問として研究し、伝えるということを貫いた、と思います。

 

最初音楽学校に入ったぐらいですから、音楽を聴くことも弾くことも常にありました。本物のオルガンは買えませんでしたが、エレクトーンを弾いていました。祖父の場合は音楽はキリスト教とつながっていました。考えてみれば、私たちが今学んだり、楽しんだりしている西洋音楽の起源はキリスト教にあります。キリスト教について、私も勉強するべきなのに、まったく怠けていて、「おじいちゃんごめんね。」時々思っています。

 

福富啓泰をインターネットで検索してみると、著書が古本屋さんのページにあり、そのほか、関東学院大学のグリークラブのページにありました。グリークラブに「コール・オリヴァ」という名前をつけたのが祖父だそうです。そのことを記載してくださっていることを本当にありがたく思います。